写真家への最初の問いと最後の問い

とある写真家がトークショーの質疑応答で、なぜ写真を撮るのかと問われて(すごい質問だ!)、自分が何を撮るのか知りたいから、というように答えているのを見たことがある。その当時は特になんとも思わなかったのだけれど、最近思い返して、あれは恐ろしい答えだという気がしてきた。
何を撮りたいのか、というのはカメラ購入を検討する初心者がきかれる質問である。撮りたいものによって、カメラやレンズの向き不向きというものがあるから。その点をよーく考えてから、適した道具を手に入れよう、というわけである。しかしこんな質問に本当に答えられる人がいるんだろうか。自分は何を撮りたくて、何を撮っているのか、そんなことは何十年写真家をやっていてもわからないものかもしれない。というか、そういう問いに囚われてしまった人が、撮り続けてしまうのかもしれない。なんにせよ、とりあえずシャッターを切れば何かが写るというのはすばらしいことではないか。